本紹介

【本紹介】アートを学んで意味あるの?『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周

どうも、読書ブロガーのしゅんたろ@shuntaroublogです。

 

山口周さん著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』を紹介します!

 

タイトル 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」
著者 山口周
出版 光文社
発売日 2017年7月19日
ページ数 257ページ

 

今日の世界は、4つの英単語の頭文字をとってVUCAと呼ばれています。

  • 不安定(Volatility)
  • 不確実(Uncertainty)
  • 複雑(Complexity)
  • 曖昧(Ambiguity)

著者は、そんなVUCA時代には美意識が必要だと主張しています。

 

くろ
くろ
教養の大切さとかそういう話?
しゅんたろ
しゅんたろ
そうじゃなくて、VUCA時代のビジネススキルとして、仕事で成果を出すために美意識が重要という話だよ!
しゅんたろ
しゅんたろ
子育てにおいても芸術教育は評価を高めているから、ヒントがあるはず!

 

この記事では、

  • そもそも美意識とは何なのか
  • なぜ美意識が必要なのか
  • どうしたら美意識が鍛えられるのか

を軸に本書を紹介していきたいと思います。

 

しゅんたろ
しゅんたろ
それでは、内容を見ていきましょう!

 

そもそも美意識って何なの?

そもそも美意識とは何なのでしょうか。

本書では美意識を次のように定義しています。

美意識とは、「真・善・美」を判断するための認識のモード、ということになります。

言い換えると、

測定できないものや論理で白黒つかないものを直観的に判断できる感度とも言えます。

測定できないものや論理で白黒つかないものが増えるのがVUCA時代だと前段でお話ししました。

だから、著者は高い美意識がリーダーに必要だと主張しているわけですね。

 

 

 

なんで美意識が必要なの?

著者はVUCA時代の問題点を3つ挙げています。

  1. 論理的・理性的な情報処理のスキルの限界が露呈しつつある
  2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある
  3. システムの変化にルールの制定が追い付かない状況が発生している

 

論理的・理性的な情報処理のスキルの限界が露呈しつつあるから

著者は、論理的・理性的な情報処理スキルに頼りすぎる弊害として、正解のコモディティ化、差別化の喪失を指摘しています。

現代では、論理的・理性的な情報処理は当たり前になっていますが、数値に基づく処理なので導かれる答えは自ずと同じものになってしまいます。

その結果、同じような商品やサービスで溢れてしまい、差別化が失われてしまうという指摘です。

「どこの会社の商品買っても同じ。違いがよく分からない」という状態ですね。

 

世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつあるから

20世紀に生きたアメリカの心理学者マズローは、人間の欲求は次の5段階に分かれると主張しました。

最上位 自己実現欲求 自分らしい生き方を実現したい
承認欲求 他者から認められたい
社会的欲求 集団に属したい
安全欲求 安全に暮らしたい
最下位 生理的欲求 ご飯食べたい、寝たい

 

承認欲求は、身近なところだとインスタのいいねの数が気になるのがそうですね。

そして最近では、多様性という言葉に後押しされて、自分らしい生き方を求める人が増えているように感じます。

これがつまり「自己実現的消費市場」に向かうということです。

 

自己実現欲求の段階の人たちは、これまでのような価格や機能だけでは魅力を感じにくくなっています。

承認欲求や自己実現欲求を刺激する感性や美意識が感じられる商品、サービスが必要になってきます。

 

システムの変化にルールの制定が追い付かない状況が発生しているから

社会の変化は年々スピードを増しています。

ルールが後追いで制定されるなかで、「法律的に問題が無ければやっていい」ということでは、大きく倫理を踏み外してしまう危険があります。

大きな倫理の踏み外しは、企業のブランドに致命的なダメージを与えかねません。

逆に、高い企業哲学を持つ企業は、評価を高めていきます。

 

 

ここまでに3点、美意識が必要と著者が考える理由を紹介してきました。

  1. 論理的・理性的な情報処理のスキルの限界が露呈しつつあるから
  2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつあるから
  3. システムの変化にルールの制定が追い付かない状況が発生しているから

1つ注意しなければならないのは、論理的・理性的な情報処理のスキルが不要になるわけではないということです。

論理的・理性的な情報処理で判断と美意識による判断をうまく使いこなしていくことが必要なんですね。

しゅんたろ
しゅんたろ
理性と感性のバランスが大切です!

 

 

 

美意識はどうすれば鍛えられるの?

VUCA時代に対応するために、どうすれば美意識を鍛えられるのか。

本書では、著者が2年ほどの時間をかけてグローバル企業や教育機関をリサーチした事例や大学の研究をもとに、次の3つが紹介されています。

  1. アートを鑑賞する
  2. 哲学に親しむ
  3. 文学、詩を読む

 

アートを鑑賞すると美意識が鍛えられる

お待たせしました。タイトルにある「アートを学んで意味あるの?」の答えですね。

エール大学の研究により、アートを鑑賞することで観察力が向上することが証明されています。

医大生に対して、アートを用いた視覚トレーニングを実施したところ、皮膚科の疫病に関する診断能力が56%向上し、他にも全般的な観察能力、特に細部の変化に気づく能力が10%向上したことをレポートしています。

一般的に、専門家として能力を高めるほど、パターンにはめて考えてしまう傾向があるそうです。

実際パターンにはめたほうが効率的に仕事を進めることができます。

ただし、パターン化の弊害として新しい発想やアイデアが生まれにくくなります。

観察力を鍛えるにはステレオタイプ的なモノの見方から解放されて、純粋に観ることが必要です。

 

観察力の向上手法として、VTSという方法が紹介されています。

これは絵画を見て、

  1. 何が描かれているか
  2. 絵の中で何が起きていて、これから何が起こるか
  3. どのような感情や感覚が、自分の中に生まれているか

をグループで考えるものです。

VTSに参加できる機会があれば利用するのもいいですし、美術館に行ったり、ネットや図書館で本を借りてきて無料で気軽にやってみることもできますね。

美意識と観察力は関係ないのではと思われる方もいるかもしれませんが、繰り返しになりますが、美意識とは「真・善・美」を判断するための認識のモードです。

認識して判断するためには、観察が必要不可欠です。

 

哲学に親しむと美意識が鍛えられる

世界でエリートを育てるために普遍的に行われているのが哲学教育だそうです。

欧州の名門校では、文系・理系問わず哲学が必修化されており、海外と日本のエリートの違いがここにあります。

海外のエリート 哲学を土台に、功利的なテクニックを積んでいる
日本のエリート 哲学の土台無しに、功利的なテクニックを積んでいる

 

哲学から得られる学びは3つあると著者は言ってます。

  1. コンテンツ(哲学者の主張)からの学び
  2. プロセス(哲学者の主張に至った思考)からの学び
  3. モード(哲学者の社会への向き合い方)からの学び

①のコンテンツは、自然科学の進んだ現代では間違いと結論づけられたものも少なくないため、哲学者の名言集を覚えてもあまり意味が無いんですね。

大事なのは②、➂の哲学者の思考や社会への向き合い方で、そこからは学びが多いにあると著者は言っています。

哲学者の思考や社会への向き合い方とは、すなわち常識に対する疑いの目です。

 

無批判に社会を受け入れない態度

これはより良い社会を創造していくうえで時代に関わらず必要なことで、時代の常識に疑問を投げかけてきた哲学者の思考には学ぶものがあるとのことです。

 

文学を読むと美意識が鍛えられる

哲学と同様に、社会に対する疑いの目を物語の体裁をとって考察しているのが文学だと著者は言っています。

自らの美意識をもとに、物語に触れることで自分の感度を磨くことができます。

時間に追われるビジネスパーソンは、ビジネス書に比べて文学や小説を読む人は少ないことが予想されますが、意外と良い効果があるかもしれません。

しゅんたろ
しゅんたろ
小説を読み終えた後に、見慣れた景色でも何か違った感じがするときってありますよね。

 

 

 

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』まとめ

山口周さん著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』から、

美意識とは何か、なぜ美意識が必要なのか、どうすれば美意識を鍛えられるのかの3点を紹介してきました。

とめ

①美意識って何なの?

  • 美意識とは「真・善・美」を直観的に判断する意識。
  • VUCA時代に求められるリーダーのスキル。

②なんで美意識が必要なの?

  • 自己実現欲求の高い消費者に対しては、高い美意識が無いとニーズに応えられないから。
  • 社会の変化に法律やルールが追いつけないなかで、高い美意識に基づく企業哲学の重要性が増しているから。

➂美意識はどうすれば鍛えられるの?

  • アートを鑑賞して、ステレオタイプなモノの見方から離れる。
  • 哲学に触れて、哲学者の思考プロセスや社会への態度を学ぶ。
  • 文学を読んで、自らの感度を磨く。

この本では紹介した内容の他に、

  • 脳科学と美意識の関係
  • 受験エリートと美意識の関係
  • マツダの「日本的美意識」

などについて、多くの著名人の発言の引用や事例をもとに書かれています。

 

私にとってこの本は、アートを観るなどの美意識を鍛えることが社会でどう実益があるのか合点がいった一冊になりました。

ビジネスパーソン子育て中の方にヒントを与えてくれると思いますので、ぜひ読んでみてください。

 

しゅんたろ
しゅんたろ
最後までご覧いただきありがとうございました!